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「いつか弾くかも」で取っておいた楽器との向き合い方

暮らし

「また弾くかもしれないから」。そう思って取っておいた楽器が、気づけば何年もそのまま、という経験はないでしょうか。学生時代に夢中だったギター、一度は習おうとしたピアノ、勢いで買ったけれど数回しか触らなかった機材。手放す決心がつかないのは、たいてい「いつか弾くかも」という気持ちがあるからです。

この「いつか」は、なかなかやっかいです。否定するのは寂しいけれど、肯定し続けると物は増えていく。今回は、この「いつか弾くかも」とどう向き合うかを、一緒に考えてみたいと思います。

「いつか」は、たいてい来ない。でも、それでいい

少し厳しい話からすると、「いつか弾くかも」の「いつか」は、多くの場合やって来ません。これは意志が弱いとか、そういう話ではなく、生活が変わり、興味が移り、時間の使い方が変わっていくからです。何年も触っていない楽器は、これからも触らない可能性のほうが高い、というのは、認めておいたほうがいい現実だと思います。

ただ、だからといって「弾かなかった自分」を責める必要はありません。一度でも夢中になった時間があったなら、その楽器はもう役目を果たしています。「いつか弾くかも」は、楽器そのものへの執着というより、その楽器と過ごした時間や、当時の自分への愛着なのかもしれません。それは大切にしていい気持ちです。

気持ちと物を、いったん切り分けてみる

向き合い方のコツは、「思い出」と「物」を切り分けて考えてみることです。

楽器を手放しにくいのは、手放すことが「あのころの思い出を捨てる」ように感じられるからです。でも実際には、思い出は楽器がなくなっても消えません。楽しかった記憶も、頑張った時間も、自分の中に残ります。物としての楽器を手放すことと、思い出を大切にすることは、両立できます。

写真を撮っておく、というのも一つの方法です。手放す前に、その楽器の姿を写真に残しておけば、「ちゃんとお別れした」という区切りになります。物は手放しても、記録と記憶は手元に残る。そう考えると、少し気持ちが軽くなるかもしれません。

「条件」を決めてみる

それでも踏ん切りがつかないときは、自分なりの「条件」を決めてみるのもおすすめです。

たとえば「これから1年のあいだに一度も触らなかったら手放す」と期限を決めてみる。あるいは「次の引っ越しのタイミングで考える」と区切りを設ける。漠然と「いつか」と思っているとずっと決められませんが、具体的な条件があると、判断のものさしができます。

期限を決めて、実際にその楽器を手に取ってみる。もし「やっぱり弾きたい」と思えたなら、それは取っておく理由がある楽器です。逆に、手に取っても何も感じなかったなら、それが答えなのかもしれません。

手放すことは、終わりではない

「いつか弾くかも」を手放すのは、その趣味や思い出に終止符を打つことのように感じられるかもしれません。でも、必ずしもそうではありません。

楽器を手放したあと、また音楽がやりたくなったら、そのときに改めて手に入れればいい。今は楽器も中古市場が充実していますし、レンタルやサブスクのような選び方もあります。「一度手放したら二度と手に入らない」わけではないと思えば、今手元にある一台にしがみつく理由は、少し薄れるのではないでしょうか。

そして、今は使わないその楽器も、手放せば次に弾きたい誰かのもとへ渡っていきます。眠ったまま少しずつ古くなっていくより、また音を鳴らしてもらえるほうが、楽器にとっても幸せなことかもしれません。

焦らなくていい。でも、一度は向き合ってみる

最後に、無理に手放す必要はない、ということも書いておきたいと思います。本当に大切な一台なら、弾かなくても持っていていいのです。向き合った結果「やっぱり置いておく」と決めたなら、それも立派な答えです。

大事なのは、「なんとなく」のまま放置しないこと。一度しっかり向き合って、自分の気持ちを確かめてみる。手放すにしても、取っておくにしても、自分で選んだという感覚があれば、その楽器との関係はきっとすっきりしたものになるはずです。久しぶりに、あの楽器をケースから出してみるところから始めてみませんか。

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